こんにちは、凜です!
新元号『令和』・・・ 長い歴史の中で、初めて『漢書、漢籍』ではなく、日本初の歌集でもある『万葉集』の序文で、大伴旅人が詠んだ『梅花の宴』からの出典ということで、国民からは広く愛される元号ではないでしょうか。(※1)
そのおかげなのか、歌が詠まれたとされる福岡県太宰府市は『坂本神社』の、大伴旅人の邸宅跡に ”群衆” が押し掛けるという熱狂ぶりが報道されています。
『万葉集』は、およそ1300年前に編纂された ”日本最古の歌集” とされていて、貴族や庶民(貧しい農民なども)に至るまで、幅広い階層の人々の歌が収められています。
中には庶民が日常生活の様子を詠んだ歌や、他愛のない愚痴なども歌として残され、現代の私たちに当時の暮らしぶりを伝えています。そういった意味でも親しみを持てますよね。
歌は、『初春の令月にして、気淑く風和らぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす』という、美しく気品のある内容です。安倍首相は『人々が、美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味』があると説明していまいた。
いずれにしても1300年も前の歌が現代に残り、『元号』として愛されているというのは、”悠久のロマン” を感じます。
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さて、”悠久の歴史を伝える歌” 、という点で、私たち日本国民が最も身近に感じられるものは、国家『君が代』ではないでしょうか?
「えっ!?君が代」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。普段何気なく聞いている歌で、もちろん歌うこともできる・・・でも、その「成り立ち」や「歌の意味」までは考えたことがなかったわ~という方もけっこういると思います。
そこで、今回は万葉集から、約130年後に作られた歌集『古今和歌集』(※2)に収められていた歌、『君が代』についてご案内していきましょう。
まずは君が代の歌詞を見てみましょう。
《君が代》
『君が代は 千代に八千代に さざれ石の巌となりて 苔のむすまで』
いかがですか?このわずか27文字からなる和歌が、日本の国歌として、現代でも愛されているんですよ。1200年も前からある歌・・・もし平安時代の貴族が現代にタイムスリップしてきても、『あっ、この歌知ってる!』と言うかもしれません。
歌の意味ですが、簡単にいえば『この素敵な世の中、あなたの幸せが永遠に続きますように!』というフォーエバー系の歌です。
『君が代』とは『あなたの世(時代)』という意味なのですが、直訳してしまうと『君=天皇』(天皇の治世)という誤解を受けがちです(※3)。
でも実は、『君』とは「相手を尊んで向けた呼び方」でした。目上の人、愛おしい人、尊敬する人などを指す言葉として広く使われていました。
そして『千代に八千代に』は『1千年も、1万年も先まで、長く長く』となります。
『さざれ石』とは、石が風雨にさらされて、ざらざらとした岩肌が露わになった様子を指します。特定のものではなく、状態を示す名称なので、わりと全国各地の神社やお寺に『御神体』として祀られていることが多いです。
つまり『石が風雨に晒され、表面が風化して、さらにその上が苔に覆われるほどの長い長い年月』ということになります。
それだけの長い年月のように、あなたの繁栄(長寿)が続きますように・・・という相手の長寿を願う意味が含まれているんです。こう考えると、あぁ悪くない歌だなぁと思いませんか?
最近アメリカのフットボールの試合で国家斉唱の時に膝をつかなかった選手がバッシングを受けたり、日本でも『君が代』を国歌として認めない、私は起立しないし、歌わない!と頑なに拒否される方もいます。もちろん個人の主義主張は自由なんですが、フォーマルな場で斉唱できる歌があるのって素敵だと思いませんか?
そして、歌意の”解釈” は別として、”1200年以上前から伝わる歌” が国歌なんて、日本にしかありませんし、これはかなり凄いことだと思います。
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※1:『万葉集』は日本最古の和歌集ですが、その根幹は漢文学がベースとなっています。貴族が教養を身につけるために漢文を学び、それに倣い詠んだ歌が多く収容されているので、純粋な日本の文学、文化とも言い切れない側面があります。
※2:『古今和歌集』は日本最古の「勅選和歌集(天皇が命じて編纂された歌集)』です。『君が代』は ”誰が、誰に向けて詠んだ歌なのか” が分かっていません。つまり『読人知らず』の歌として古今和歌集に載せられました。
※3:君が代=天皇の治世と捉えてしまうと、現代の国民には少し違和感があるかもしれません。