伊勢市二見町、伊勢湾から遥か彼方に『富士山』を望む海沿いに、三重を代表する神社があります。その名も『二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)』です!! あの有名な海上に浮かぶ『夫婦岩』を擁する、風光明媚な神社です。←こちらの方がピンと来るかたも多いのでは?(笑)
伊勢神宮からは車で10㎞(約20分)ほど離れた、まさに伊勢湾の海沿いに鎮座している『二見興玉神社』ですが、伊勢神宮の参拝と併せて、是非とも訪れたい神社のひとつです。
昔から、ここ“二見の海”で心身をお浄めする『禊(みそぎ)』をしてから、伊勢神宮に向かうという『浜参宮(はまさんぐう)』という習わしがあって、現在でも、お伊勢参りはここからスタート!と考える方が多くいるんですよ!
鳥居をくぐると直ぐに、『天の岩屋』という朱色の祠が見えてきます。
境内の山肌(岩窟)に立つお社ですが、ここはかつて『宇迦御魂大神(うかのみたまのおおかみ)』をお祀りしていた『三宮神社』の遺構です。(※現在は本殿に合祀されています)
海風を全身に受けつつ、磯の香を感じつつ、歩く海沿いの参道・・・心地良いですね。見てください、この絶景!あまりの美しさに二度見た(振り返った)ことから、この地が『二見』と呼ばれたとも言われています。
『二見輿玉神社』で、よく見かけるのが、こちらの『カエル』さんです。海にカエル?って思いますけど(笑) カエルは猿田彦の“使い”とされていて、“無事に帰る”“貸したものが返る”などのゲン担ぎの意味もあり、奉納され続けて、境内中に置かれるようになったんだそうです。
あっちにも、こっちにも!
こちらの『手水舎』には水を掛けると願いが叶う『満願蛙(まんがんかえる)』もいて、水面に顔を出していますよ。
↓『お作法案内』です。
いよいよ見えてきました!『夫婦岩』です。誰しもが、ここから昇る「日の出」なんかをイメージする有名な岩ですよね。
海上に顔を出した大小の岩に『注連縄(しめなわ)』が渡され、遥かな海を望む美しい姿です。思わず見とれてしまいます。
一説では江戸時代の中頃には、既に「注連縄」で結ばれていたとも言われていて、歌川広重の浮世絵にもしっかりとその姿が描かれています。
↓こちらが「ご本殿」です。
主祭神は『猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)』と『宇迦御魂大神(うかのみたまおおかみ)』です。
※『宇迦御魂大神』は一般的に『お稲荷様』として知られていますが、伊勢地方では伊勢神宮(外宮)の主祭神『豊受大御神(とようけのおおみかみ)』の別称とされているんです。
その他に『海の神様(竜宮城の王様)』でもある『綿津見大神(わたつみのおおかみ)』も境内の『竜宮社』に祀られています。
主祭神『猿田彦大神』について
さて、そんな主祭神としてもお祀りされている『猿田彦』ですが、天孫降臨の際に、『瓊瓊杵尊(二ニギのミコト:天照大御神の孫)』を地上界へ導いた(案内をした)という神話があり、このため『お導きの神』『道開きの神』としても信仰されています。
また、今でこそ海中に沈んでしまいましたが、夫婦岩の沖合700ⅿ先に『輿玉神石(おきたましんせき)』という岩(御神体)があって、かつて道案内を終えた猿田彦が伊勢に来た際に最初に降り立った岩という言い伝えが残っているんです。現在でもこの「興玉神石」に絡まりついた海藻を取り除く『藻刈神事(もかりしんじ)』が毎年5月に執り行われているとのことです。
一方で、“二ニギ御一行”を地上に降ろした後、伊勢の五十鈴川の川上に鎮まったと言われていますが、実は後日談もあるんです。というのも、「日本書記」では、その後『伊勢の海(正確には、もう少し松坂市寄りだったとも)』で漁をしていた時に、貝に挟まれ、溺れて泡となって消えてしまったと書かれています。ごくごく簡単に(サラッと)書かれた、この描写に、いったいどんな意図があったのかは未だに解明されていませんが、猿田彦と伊勢の海を結びつける逸話ですよね。
↓『輪注連縄(わしめなわ)』円形に編まれたしめ縄で体を擦れば、海に入らずとも『禊祓い(みそぎばらい)』の代わりになるそうです。また身体の悪い部分も、回復を願って擦って、神前に奉納します。
↓ご本殿内部の祭壇
ご本殿裏手には、『日の神/皇居 遥拝所』があり、より間近に『夫婦岩』を見ることができます。
この夫婦岩は、間に『輿玉神石=猿田彦大神』『富士山』『太陽=天照大御神』を望むことができ、これらを遥拝すための鳥居としての役割を果たしていると言われています。
『夫婦岩あるある』
・皆さんがイメージする夫婦の岩の間から登る “初日の出”は・・・実は、見れない・・・ 冬場は角度的に夫婦岩の間に太陽は現れないんですって。絵葉書などの写真は夏場に撮られたものらしいです。
・夫婦岩の小さい方(根尻岩:つまり奥様の方)は。大正時代に台風の影響で根もとから折れたことがあるらしいです。修復されましたが、若干角度が変わってしまったとか・・・
それにしても、寄り添うふたつの岩が、仲睦まじくも見え、この『二見輿玉神社』が夫婦円満、縁結びの神様として信仰されている理由の一端が垣間見えますよね。実際に日本神話でも、「猿田彦」と結婚した「天のうずめ」も、とても強い絆で結ばれていたとも言われています。
↓夫婦円満、縁結びの御守りです。2つセットになっています。
夫婦岩をモチーフにした絵馬です。
左から『招き猫おみくじ』『恋みくじ』『開運・招福お守入おみくじ』『おみくじ』
↓『蛙みくじ』
参拝を終え、御朱印を頂きました。
↓『鎮魂のうた』
↓『海王大和国』
《その他:伊勢の旅》
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日本の神話について分かりやすく解説しています。
凛の『教えて♡神様、仏様!トリビア♪』を見る。
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