こんにちは、凛です。
『日本神話』はとても壮大な物語です。登場する神様も、出来事もたくさん出てきます。
なので、お話の途中で迷子になるかもしれませんΣ(・ω・ノ)ノ!マヨッタ?
そんな時は、この『日本神話はこんなお話です』に戻ってきて、現在地を確認していただければと思います(*´ω`*)
『日本神話』はこんなお話です。
まずは、大見出しで「あらすじ」を眺めてみましょう!
①この世の始まり
→『天地開闢』
②アマテラスとスサノオの姉弟神のやりとり
→『スサノオの禊』『アマテラス誕生』
→『スサノオの誓約』『宗像三女神誕生』
→『岩戸隠れ』『スサノオ追放(神逐)』
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・日本神話を簡単にまとめると?②
④出雲での出来事
→『昼と夜の決別』(アマテラスと月読命)
→『八岐大蛇』(スサノオと櫛名田比売)
→『因幡の白兎』(八十神とオオムナチ)
→『大国主』(セスリ姫と義父スサノオ)
→『大国主の国造り』(小名毘古那・大物主)
⑤(先住)国津神と(後侵)天津神の力比べ
→『国譲り』神話
→『天若日子』(天邪鬼と返り矢)
→『力比べの決着』(建御雷神と事代主)
凛のホッと♡一息コラム『神話と大社と私』
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・日本神話を簡単にまとめると?③
⑥支配神たちの入国
→『天孫降臨』(ニニギと御一行様)
→『猿田彦』
→『木花佐久夜毘売』(怒りの炎中出産)
⑦海と山の兄弟喧嘩と仲直り
→『海幸彦』と『山幸彦』
→『竜宮城』から戻る
→『豊玉姫』(神倭伊波礼毘古命の誕生)
⑧現人神の活躍
~初期天皇たちの事績~
→『神武東征』(遥か東、美し国へ)
→『布都御魂』と『八咫烏』
凛のホッと♡一息コラム『日本神話の七不思議』
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・日本神話を簡単にまとめると?④
この章は「日本神話」に記された「歴代天皇」を紹介しています。
→『初代:神武天皇』~『欠史八代』
→『神々の祟り』(10)崇神天皇
→『倭比売命、アマテラスを導く』(11)垂仁天皇
→『日本武尊の偉業』[九州・出雲編](12)景行天皇
→『日本武尊の偉業』[東国遠征編] (12)景行天皇
→『律令国家の礎を作る』(13)成務天皇
→『住吉のお告つげと朝鮮遠征①』(14)仲哀天皇
→『神功皇后』(朝鮮遠征②/鎮懐石) (14)仲哀
→『胎中天皇』(15)応神天皇
→『聖帝と呼ばれた天皇』(16)仁徳天皇
→『黒姫と三女神の祟り』(17)履中天皇
→『天皇だって歯がいのち』(18)反正天皇
→『衣通姫伝説』(19)允恭天皇
→『血塗られた運命』(20)安康天皇
→『暴君』(21)雄略天皇
→『一括!一言主』(21)雄略天皇
→『アルビノ』(22)清寧天皇
→『愛され天皇』(23)顕宗天皇/(24)仁賢天皇
→『悪逆非道か冤罪か』(25)武烈天皇
→『血統が途切れぬように』
……(26)継体天皇/(27)安閑天皇/(28)宣化天皇
→『仏教公伝に揺らぐ』(29)欽明天皇
→『神道と仏教のせめぎ合いと決着』
……(30)敏達天皇/(31)用明天皇/(32)崇峻天皇
→『飛鳥時代へ』(33)推古天皇/(34)舒明天皇
→『宮中クーデター(大化の改新)』
……(35)皇極天皇/(36)孝徳天皇
→『重祚、そして狂心の渠』(37)斉明天皇
→『白村江の大敗・防人の歌』(38)天智天皇
→『平安時代への足掛かり』
……(39)弘文天皇/(40)天武天皇/(41)持統天皇
凛のホッと♡一息コラム『天皇の名前』
凛のホッと♡一息コラム『伊勢へ七度、熊野へ三度♪』
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日本神話を簡単にまとめると?⑤Theコラム
凛のホッと♡一息コラム『あの神は今・・・』
凛のホッと♡一息コラム『日本神話の七不思議②』
凛のホッと♡一息コラム『ダmen’s 選手権』
『イケmen’s グランプリ』
『日本神話 ショート・ショート』
凛のトリビアPOINT!
いきなり話が反れるのですが、夏目漱石の小説に『吾輩は猫である』という有名な作品がありますよね。
皆さんはこの話の内容を知っていますか?多分あまりご存じない方もいるかもしれません。
でも、この小説の最初の言葉は誰でも知っています。
そう、『吾輩は猫である。名前はまだない』ですよね。あまりにも有名な一節です。
内容は知らなくても、たったの一節で、作品の楽しそうな雰囲気が伝わってきませんか?
『日本書紀』も同じように、美しく、語感の良い一節で始まります。これはもう是非とも紹介したいんです( *´艸`)
日本書記の『第一段本文』はこんなフレーズで始まります。
【読み下し文】
古に 天地 未だ 剖れず、陰陽 分かれざりしとき、渾沌れたること 鶏子の如くして、溟にして牙を含めり。
《私流、現代語訳》
その昔、世界がまだ、空も大地も分かれていなくて、昼も夜もハッキリしなかった頃、渾沌とした中で、まるで生卵のように形もなく漂いつつも、何かが起きそうな予感を秘めていた。
(本文)
『天地開闢』
この世界が、まだ渾沌としていて、形も整わなかった頃、『高天原』という天上界に、『別天津神』と呼ばれる神様たちが、少しずつ姿を変えながら次々と5尊、現れました。
(※別天津神たちは、性別の無い『独り神』だったので、やがて静かに姿を消していくことになります)
そうしている間にも、今度は男女ペアの神が次々と姿を現します。
(※生まれたのではなく、どこからともなく湧き出たといったニュアンスです)
4~5組目くらいでしょうか、『イザナギ』と『イザナミ』という2尊の神が現れます。
凛のトリビアPOINT!
・『高天原:天上界』に一番最初に出現したのは『天之御中主神:通称(みなか主)』と呼ばれる神です。「天上界の中心にあたる偉大な神様」といったニュアンスです。次に『高御産巣日神:通称(高み結び)』、『神産巣日之命:通称(神結び)』の最初の3尊は『造化三神』と呼ばれます。
・さらに『造化三神』の次に出現した2尊を含めた5尊を『別天津神』と呼び、「天津神」の中でも、”特別な存在” なので別けましたよ!というニュアンスになります。
・『別天津神』以後に現れた、『イザナギ・イザナミ』までの代は『神世七代』と呼ばれます。
(本文)
『国生み』神話
『別天津神』たちは、『イザナギ』と『イザナミ』に渾沌とした世界を安定させるように命じます。2尊の神は『天浮橋』という雲の上に立ち、「別天津神」から授かった『天沼矛』で渾沌とした世界をかき混ぜてみました。
そして、矛を引き上げた際に「滴り落ちた雫」が固まり、やがて『島(大地)』になりました。この初めてできた島は『オノゴロ島』と呼ばれます。
2神はこの島に降り立って、社殿を建て『結婚』をします。
その時の2神の会話です。
イザナギ:「イザナミよ、あなたの身体はどんな風にできているんですか?」
イザナミ:「はい、私の身体には1か所 ”欠けている” 部分があります」
イザナギ:「そうですか、私の身体には1か所 ”余計” な部分があります。どうでしょう、あなたの欠けている部分と、私の余計な部分を合わせて”国”を作りませんか?」
イザナミ:「それはいい考えです」
2神は大きな柱をそれぞれ逆に回り、出逢った場所で声を掛け、そこで国を作りましょうと打ち合わせます。そして柱を回り始めた2神が出逢った時、『イザナミ』から声を掛け、欠けた部分を余計な部分で塞ぎます。
そうして最初に生まれたのが『水蛭子』でした。ところが「水蛭子」は骨もなくフニャフニャの身体で生まれてきました。2神は『水蛭子』を藁の船に乗せて流してしまいます。
2神は別天津神たちに「なぜ、ちゃんと子が産まれないのでしょうか?」と尋ねます。別天津神たちは占いをして「女であるイザナミから誘った(声を掛けた)からだ」と答えます。納得した2神は再びオノゴロ島に戻り、今度は男である『イザナギ』から声を掛けました。
2尊は、その後次々と8つの島を産み落としていきます。
最初に出来たのが『淡路島』、次の島は、身体がひとつなのに顔が4つもありました。そうです、『四国』です! 次に『隠岐島』、『九州』、『壱岐島』『対馬』『佐渡島』、そして8島目が『本州』でした。
この8つの島を『大八島』と呼びます。
その後『小豆島』や『五島列島』など6つの島を生み落とします。
このようにして日本の国土は、ほぼ完成を迎えます。これが『国生み』と呼ばれる神話です。
凛のトリビアPOINT!
【神々の足あと】
・「天浮橋」は、この後も天孫降臨などで登場します。天上界と地上界の架け橋のような存在ですが、具体的な地域や橋などの建造物であったかは分かっていません。一説では京都にある日本三景のひとつ『天橋立』ではないかと言われています。確かに神がかり的な(神秘的な)美しさと、地理的な要素から、あながち的外れな説ではないと思っています。
少なくとも「天橋立」を参考にした可能性はありますよね。・最初に出来た「オノゴロ島」が、現代のどこを指しているのか?は今もハッキリしていません。
・男女の身体や結婚、出産、先天性障害、ネグレクト(もしくは嬰児遺棄)など、性や、種の継承を抽象的に描写しています。
・医学の発達していない時代、障害をもって生まれる子は、神が怒ったため、悪霊に憑かれたため、などの理由をつけられ虐げられました。
【神々の足あと】
・日本神話には出てきませんが、船で流された『水蛭子(ひるこ)』は、やがて『摂津(大阪と兵庫の県境)』に漂着し、豊漁の神『恵比寿天』となったという伝説もあります。健気ですよね。蛭子=えびすとも読む、海に捨てられたから「魚と釣竿」がシンボルマーク、近畿沿岸部の一部では、海からの漂着物を信仰する風習が残っているんですよ。・「誘う」という意味の「いざなう」という言葉はイザナギ、イザナミから来ています。男女どちらが先に声を掛ける(誘う)のかで、子供にまで影響が及ぶという概念は、その後の日本において、女性が男性に声を掛けるなんて”はしたない!” Σ(・ω・ノ)ノ!という道徳観に深く影響を及ぼしました。肉食系女子や草食系男子なんて考えられない時代でした( ´艸`)
(本文)
『神生み』神話 ~2神が生んだ八百万神~
国土を完成させた『イザナギ』と『イザナミ』の2神は、今度は『神々』を生み始めます。
最初に生んだ神は『大事忍男神』でした。
大事(おおごと)をしのぶ(懐かしむ)男の神様という意味で、『国生み』という一大事を終えて、それをお祝いして(しのんで)作った最初の神といった感じでしょうか。
その後、2神は次々と”家の神” ”風の神” ”石の神” ”木の神” ”波の神” など神羅万象(この世にある、ありとあらゆる物、事)を生み続けます。そして生まれた神同士が、また神を産み、どんどん増えていきました。そのあまりの多さに、後に『八百万神』なんて呼ばれます。
そして事件は起こります!(;゚Д゚)ナニナニ!?
『イザナミ』は火の神『火之迦具土神:通称「カグツチ」』を、生もうとして「大火傷」を負ってしまいます。「カグツチ」は全身が「燃え盛る炎」で覆われた神様でした。そして、火傷がもとで病気を発症して、イザナミは死んでしまいます。
『イザナミ』が死んだ悲しみは、怒りに代わり、『イザナギ』は『カグツチ』を剣で切り刻んでしまいます。カグツチの身体は飛び散りますが、その破片から、また次々と神々が生まれました。
『イザナギ』が悲しむと、目から雫が沢のように流れ出ました。この『涙』から生まれた神が『泣沢女神』です。
『イザナギ』は『イザナミ』を出雲の『比婆山』に葬ります。
ところが、いつまで経っても悲しみは癒えず、『イザナミ』に会いたい気持ちが高まっていきます。とうとう『イザナギ』は死者の世界と言われる『黄泉の国』に向かいます。
『黄泉の国』の(入り口にあたる)社殿に着いた『イザナギ』は、扉越しに『イザナミ』を呼び出します。
イザナギ:「愛しき我が妻イザナミよ、あなたと作った国はまだ出来上がってはいません。ですから、一緒に帰りましょう」
イザナミ:「悔しいのです、なぜもっと早く来てくださらなかったのか。私はもうこの「黄泉の国」の食べ物を口にしてしまいました(ので、もう戻ることが出来ないのです)。ですが、愛しき我が夫が、わざわざ迎えに来てくれたのですから、私も帰りたいと思います。元の世界に戻ることが出来るのかを、「黄泉の国の神」に相談してきます。ですが、(あなたはここで待って)決して(黄泉の国にいる時の)私を見てはなりません。」
『イザナギ』は決して見ないと約束をして、しばらく扉の前で『イザナミ』を待ちます。ところがいつまでたっても『イザナミ』は戻ってきません。待ちくたびれた『イザナギ』は、とうとう黄泉の国に入り、妻を探しはじめます。
『イザナギ』が『イザナミ』を見つけたとき、『イザナミ』の身体は(腐敗して)、蛆が湧き、体には8つもの『雷神(悪霊のこと)』が憑いていました。
その姿に恐怖を抱いた『イザナギ』は、逃げ帰ろうとします。
イザナミは「私に恥をかかせたな!」と言うと、『黄泉醜女』という悪霊を呼んで『イザナギ』を追わせます。
逃げる『イザナギ』は『ぶどう』や『タケノコ』を投げつけ、「シコメ」が気を取られている間に、更に遠くに逃げだします。
『イザナミ』は身体に憑いている雷神と1500もの黄泉の軍勢に後を追わせます。『イザナギ』は必死に剣を振り、抵抗して逃げ急ぎます。ついに ”黄泉” と ”この世” の境にある『黄泉比良坂』という場所までたどり着きました。そこで『イザナギ』はこの坂の「樹」に実っていた『桃』を、追っ手に向かって投げ撃ちました。するとようやく追っ手は退散していきます。
それでも怒りの収まらない『イザナミ』は、最後には自ら『イザナギ』を追いかけました。追いつかれた『イザナギ』は「黄泉比良坂」を大岩で塞ぎます。岩を挟んで、夫婦は「口論」を繰り広げました。
イザナミ:「愛しいイザナギよ。よくもこの様な仕打ちをしてくれたな。これからはあなたの国の者を1日1000人、(呪いで)絞め殺しましょう」
イザナギ:「愛しい私のイザナミよ。あなたが、そのようなことをするのであれば、私は1日1500人をこの世に誕生させましょう」
こうして、イザナミは『黄泉津大神』と呼ばれるようになりました。
何とも悲しいお話ですね。誰も死には逆らえない、死者は蘇らない(黄泉返らない)という、自然界の摂理を、物語を通して描いているんですね。
凛のトリビアPOINT!
・古代から王位継承は ”血族内で” という風習が根強く、同族同士、兄弟姉妹同士で「近縁者間の婚姻」など、好ましくない慣習が長い間行われていました。イザナギとイザナミも兄妹です。
・古文では「妹=愛おしい年下の女性」という意味もありますので、少しロマンティックに考えるなら、神話に書かれた『妹』という文字を「年下の妻」と解釈してもいいんですよ。
・今も昔も「出産」は命がけでした。ましてや医学の知識もない時代では、出産で命を落とすことは珍しくありませんでした。そして ”無事に産まれる” こと自体が、奇跡に近い偉業として捉えられていました。ですから、それを何回も繰り返した『イザナミ』は、まさに創造神として崇拝されたのですね。
・ちなみに『イザナミ』は病を患ってからも6尊もの神を生んでいます。
・この「神生み」の段で、初めて「怒り」や「悲しみ」、「女々しさ」、「愛情」、「我慢できない感情」、「恥ずかしさ」、「恐怖」といった感情が表現されました。
・「カグツチ」が剣で斬られ、炎の身体が飛び散る様は、火山の噴火で溶岩が飛び散る様子を描いたのではないか、という説もあります。
・この時、飛び散った血や破片から、たくさんの神が生まれましたが、その中の1尊が今後も活躍する『建御雷神』です。
【神々の足あと】
・『イザナギ』の涙から生まれたのが「泣沢女神」だったと紹介しましたが、実はもうひとつ別の神話があります。『イザナギ』の深い悲しみは(涙は)、いつまでも止むことがなく、結晶となって、やがて『神石』と呼ばれる、滴のような形の巨石となりました。『イザナギ』は悲しみを断ち切るという意味を込めて、この石を剣で3つに切り裂きました。
その斬られた『神石』は、現在でも宮崎県都城市にある『東霧島神社』に祀られています。確かに鋭利な刃物で切られたような断面ですが・・・石は2切れしか見当たりません。あと1つは?
実は、斬った勢いで、遠く宮崎市の「平原」まで飛んでいって、この石の断面が、『神石』とピッタリ合ったという伝承があります。なんだか不思議で、とても面白い逸話ですよね!
残念なことに、その石が実在したかどうかといった痕跡は残されていません。
・『イザナギ』と『イザナミ』の口論と決別は、”日本で初めての離婚” であったとも言われています。しかし「文句」を言い合いながらも、お互いが相手の事を「愛しい」と言っているところに ”切なさ” を感じてしまいますね。
・『イザナミ』の呪いによって、”形ある物はいずれ壊れる” ”命ある者はいつか死を迎える” という「寿命」や「有形必滅」の概念ができたとする説があります。それ以前は偶発的な事故や病気、他者からの攻撃で死ぬことはあっても、勝手に終焉を迎えるといった概念は記されていなかったんですね。
・実は『イザナギ』と『イザナミ』の2神が「黄泉比良坂」で言い争っていた時、”仲を取り持った神様がいた” という『ククリヒメ伝説』があるんです。日本書記の副文(本文には記載が無い)に『菊理媛神』は記されていて、どの様な言葉で ”間を取り持ったのか” までは書かれていないのですが、“縁をくくる女神”ということで「縁結びの神様」とも言われています。
【神々の足あと】
・『黄泉比良坂』は今の島根県『東出雲町』にあったとされています。現在は結界が張られ、石碑が立てられています。『イザナギ』が道を塞いだとされる『千引きの岩』という大きな石も祀られているんです。そして近くには『揖夜神社』という『イザナミ』を祀った神社があります。・「東出雲町」の隣町、島根県『安来市』には、『イザナミ』が葬られたと言われる『比婆山』があります。面白いことに(直線で約30km離れた)広島県『庄原市』にも『比婆山』という山があるんです。
島根(安来市)の『比婆山』は標高330mほどの小高い山で『イザナミ』の御陵とされる古墳があります。ちなみに『比婆山久米神社』が「山頂(奥の宮)」と「麓(下宮)」に分かれて鎮座しています。
一方、島根と広島の県境で、ギリギリ山頂が広島側に入っている庄原市の『比婆山』にも1260mの山頂付近に円丘があり、これまたイザナミの御陵とされる、苔むした巨石が横たわっているんです!この2つ以外の山や丘を含めて、宮内省やら内務省やら、偉い学者さんやらが、「この地こそが本物だ!」と未だに論じ合っているんです 笑。 あなたがそこに立った時に、“何か”感じるものがあれば、そこに『イザナミ』が眠っているのかもしれません。
・『黄泉津大神』は ”黄泉の国の王” というニュアンスです。つまり、『イザナミ』が「黄泉の国」を支配する立場になったということですね。
(本文)
『アマテラス誕生』
~イザナギの禊から生まれた三貴神~
命からがら『黄泉の国』から逃げ帰った『イザナギ』でしたが、その身体にはたくさんの『穢れ』が憑いていました。
そこで、『イザナギ』は『阿波岐原』という瀬に浸かって『禊祓い』を行ないます。その穢れが祓われると、そこから次々と神が生まれました。
身に付けていた、衣類や杖や腕飾りからは13尊の神々が、「穢れ」からは「災厄をもたらす神」が2尊、さらに災厄を流す力を持った3尊の神が生まれます。
次に禊をした「水面、水中、水底」から、それぞれ3尊が2組(計6尊)生まれます。その内の1組は『ワタツミ3神』、もう1組を『住吉3神』と呼びます。
最後に『イザナギ』が左目を洗うと、そこから『天照大御神:通称(アマテラス)』が生まれます。
右目を洗うと『月読命』が、そして鼻を洗うと『建速須佐之男命:通称(スサノオ)』が生まれます。
『イザナギ』はこの3神の誕生をたいへん喜びました。
イザナギ:「私はこれまで多くの子(神のこと)を生んできたが、最後の最後で3尊の格貴い神(三貴神)を得られた」
そして自分の ”珠の首飾り” を渡し『アマテラス』にこう言います。
イザナギ:「あなたは『高天原:天界』を治めなさい」
次に『月読命』には『夜の国』を、そして『スサノオ』には『大海原』の統治を命じました。
このようにして、『禊』という儀式から数多くの神々が生まれ、さらに『三貴神』という ”格貴い神” による、この世の『分割』『統治』という体制が確立しました。
凛のトリビアPOINT
【神々の足あと】
・『イザナギ』が『禊』を行なった地は、詳しくは『筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原』と記されていますが、現代の区画感覚だと、筑紫と日向、さらに阿波岐原は、九州東岸ではあるのですが、微妙に位置が異なっていて判然としないんです。
ヘタをすると250~300kmの範囲を指している可能性もあったりして・・・
ですから、記述の意図としては『九州の東沿岸のどこか』程度のイメージではないかと思います。・さらに『禊』をしたのは『海』なのか『川』なのか、はたまた『池』や『沼』なのかが分からないんです。
私のイメージでは冷たい荒海に入って「えいっ、やーっ!!」とか言いながら桶で水をかぶるシーンが浮かぶんですが 笑 もしくは滝に打たれてとか・・・。『阿波岐原』は海沿いの町ですが、大淀川という立派な川もありまし、付近一帯はやけに池や沼が多いんですよ。
また『江田神社』という古い神社があり、そこの『池』で『禊』をしたとも伝えられていて、『禊発祥の神社』にもなっているんです。
ただし、本文には「水面近くは水流が早く、底の方は遅い、だから中段あたりで禊をした」というような記述があります。海だと海底までは深過ぎるし、池や沼だと流れがあまりない。と、いうことは川だったのかな?などと勝手に考えています 笑
・『住吉3神』は全国に600ある住吉神社に祀られ、その総本社が大阪市住吉区に鎮座する『住吉大社:通称すみよっさん』になります。
・水の中で生まれた『ワタツミ3神』や『住吉3神』は海洋の神とされています。ちなみに ”海神” と書いて ”ワタツミ” と読みます。
(本文)
「スサノオの誓約(うけい)」
~宗像三女神と五柱神の誕生~
『イザナギ』に命じられたとおり『三貴神』は、それぞれの国へ行き、統治を始めます。
ところが、『スサノオ』は命じられた通りには国を治めず、泣いてばかりいました。大人になってもまだ泣き続けます。おかげで山は枯れ、海は干上がり、悪霊が蠅のように羽音を立てて飛び回り、辺りを埋め尽くしました。
見かねた『イザナギ』は理由を尋ね、『スサノオ』とこんなやりとりをします。
イザナギ:「お前はなぜ、国も治めず泣いてばかりいるのだ?」
スサノオ:「『(亡き母)イザナミ』のいる『根の国』へ行きたくて泣いております」
イザナギ:大いに怒り「ならば、お前はここに住んではならない!」
こうして『イザナギ』は『スサノオ』を追放してしまいます。
追放された『スサノオ』は『では、アマテラス(姉)に事情を説明してから、去りましょう』と言い、『高天原:天界』に向かいます。
『スサノオ』が天界へと上りはじめると、大地は揺れ、空は曇り『台風』が発生します。その騒ぎに驚いた『アマテラス』は「スサノオ(弟)がここに登ろうとしているのは、何か良からぬことを考えているのでしょう。さては、この国(天界)を奪い取ろうとしているのでしょうか」と考えます。
そこで、『アマテラス』は男神のような “いでたち” で、『勾玉:お守り』と『1500本もの矢』と『弓』で迎え撃つ準備をします。そして『スサノオ』と対峙したときは、地が沈むほどに両足を踏ん張り、まるで雄叫びのように『ここに何をしにきたのか!』と問い詰めました。
『アマテラス』の決死の出迎えに、驚いたのは『スサノオ』の方でした。
そこで『イザナギ』に追放されるまでの経緯と、自分に邪心などないということを必死で訴えましたが『アマテラス』は半信半疑です。
アマテラス:「あなたは、どの様に『邪心』がないことを証明するのですか?」
スサノオ:「では、占いをして、身の潔白を証明しましょう。」
『スサノオ』はそう言って「占いで神が生まれれば潔白」という『誓約』を提案します。
了承した『アマテラス』は『スサノオ』の持っていた『剣』を受けとり、『天真名井』という聖水ですすいでから、噛み砕いて吹き捨てました。その息吹から生まれたのが『宗像三女神』と呼ばれる『タキリ姫』『イチキシマ姫』『タギツ姫』の3尊です。
続いて、『アマテラス』が身に付けていた珠を『スサノオ』が噛み砕き、吹き捨てると、『天之忍穂耳命:通称(おし穂みみ)』が、次に『天之菩碑能命:通称(アメノほひの)』が生まれ、3人目に『天津日子根命:通称(アメノひこね)』その後2尊、計5尊の男神『五柱神』が生まれました。
こうして、占いで『スサノオ』の潔白は証明されました。
『スサノオ』の『誓約』によって3女5男の神が誕生したのですが、『アマテラス』はこんな提案をしました。
「後から生まれた5尊の神は、私の持ち物(珠)から生まれたので、私の子とします。先に生まれた3尊の女神はあなたの持ち物(剣)から生まれたので、あなたの子としましょう」
こうして子別けの儀式が終わります。以後、「別天津神」、「神世七代」と『アマテラス』を始祖とする子供たちは『高天原:天上界』の国の神であり『天津神』と呼ばれ繁栄します。
一方で『三貴神』以前に生まれた神(土着神)と、高天原から降りてきて地上界で氏神になった神、そして『スサノオ』を始祖とする子供たちは『国津神』と呼ばれ『葦原中国:地上界』で力を付けていきます。凛のトリビアPOINT!
・スサノオが「大人になるまで」泣き続けたとあるのは、本文に「顎鬚」が「心(胸の辺り)」まで伸びても、なお泣き続けたという記述があるためです 笑
・『スサノオ追放』の際、『イザナギ』は『三貴神』たちにこの世の統治を任せ、自らは『大御神』として、『大八島』の中で最初に作った『淡路島』の多賀の地で悠々自適の隠居生活を送っていました。
『イザナギ』にしてみれば“いい大人”になってもメソメソ泣いている甘えた末っ子を見て「やれやれ・・・ふぅ。」といった感じだったんだと思います 笑。
『スサノオ』を追放した後、『イザナギ』は『幽宮』にこもり静かに余生を送ります(※以後、日本神話には登場しません)。・スサノオはイザナギの禊祓いで生まれたので、『イザナミ』は直接の母ではない気がするのですが、自ら『妣:亡き母を表す』と言っているので、少なくともスサノオは母だと考えているんですよね。不思議です。
これは私が『日本神話の七不思議』と勝手に位置づけているものの1つなんですが、『(2人で)産む』神もいれば、『1人で生む』神もいて、中には「細胞分裂」のように分かれて生まれる神様がいるんですよね。もちろん初期5神の『別天津神』や『イザナギ・イザナミ』なんて、ほぼ自然発生的に現れているし・・・
『イザナミ』が “母の象徴だから” とか、“ルーツ” だからとかいう説もありますし、まぁ日本書記では2神が生んだってことになっていますからね。
・『根の国』は「草木の根っこの生える場所」つまり『地中』を意味します。死んだ者が行く世界で、『黄泉の国』とほぼ同じと考えても良いのですが、なぜ途中で表現が変わったのか・・・謎です。
そして世界は『高天原:天上界』『葦原中国:地上界』『黄泉の国/根の国』という3段構造という概念が存在していることが分かります。・『スサノオ』は海と風を操る神でしたから、無造作に動いた結果『台風』が起きてしまいます。本人は悪気など無かったのですが・・・。
『アマテラス(姉)』の勘違いから起こったトラブルですが、普段、大人しい(奥ゆかしい)女神である『アマテラス』が戦いの準備をして迎え撃つ姿には、「私が国を守らねば!」という「必死さ」が垣間見えて、共感できます。きっと物凄く怖かったんだと思います。両足がめり込むほど踏ん張ったのではなく、地面が沈むくらい「足」が震えていたんだと思います。乙女なんです、アマテラスは!
・宗像三女神を含めて、女神たちの当て字を『姫』としていますが、本当は『毘売』と『比売』です。そろそろ「神様の名前」も「多く」なってきたので、少しでも覚えてもらえるようにちょっとだけ変えてしまいました。
・『誓約』とは、まず将来の「予想」をして、その通りの結果となれば「無罪」といった「占い診断(審判)」みたいなものです。この時『スサノオ』は、「子供が出来る」という予想を立てて、『アマテラス』と占いをします。そして「三女神」と「五柱神」が生まれたので、結果「無罪」でした。
本文にはここまでしか記述はありませんが、本当はこんな感じだったのではないかと妄想しています。
『スサノオ』は「私があなた(アマテラス)を、どんなに崇め、お慕いしているかを証明しましょう。そして見事、あなたとの間に『子』が生まれたならば、私に邪心など無いことが分かるでしょう」と、子の出生で判断を迫ったのではないでしょうか。
少なくとも『スサノオ』は『アマテラス』に好意があったと思うのです。で、なければ、わざわざ事情を説明しに天界へ上がる必要もないでしょう。まっすぐ「根の国」へ行けばいいのですから。
一方『アマテラス』は女性として『スサノオ』を受け入れるわけですから、そこにはもう「疑う気持ち」はなく、ただ「愛情」を一身に受けたのでしょう。その結果『スサノオ』の望む通り、いやそれ以上に8尊もの神が産まれたのではないでしょうか。
「男性」が差し出したのが『剣』というのも、それを『聖なる水』ですすぐ(湿らす)というのも、遠回しですがそう言うことですよね。そうすると女性が差し出した『珠』というものは、ご懐妊される時に必要な「女性の持ち物」だったのでしょうか? 私的『日本神話の七不思議』のひとつですが、「神話」が誕生した当時、顕微鏡でもなければ見えないようなミクロの世界、ましてや外から見えない体内でおこる神秘の光景を、具体的に珠(丸い物、宝石)と表現できたでしょうか? 『とんがり=男性』『丸さ=女性』を表しているとする説もありますが、謎は解明されていません。
・『天津神』は、通称『天神』と呼ばれている神様です。こちらの方が馴染み深いですよね。一方で『国津神』は『地祇』と呼ばれますが、こちらはあまり聞き慣れません。天地両方を合わせて『天神地祇』と表現します。ちなみに『地祇』という漢字は「クニツカミ」とも読むんですよ。
【神々の足あと】
・『天真名井』は意外にも国内に多く点在しています。もともとは特定の井戸を指す固有名詞ではなく、“特に綺麗な井戸や湧水”という意味もあったので、点在していても不思議ではありません。有名なところでは鳥取県米子市、京都の「市比賣神社」、そして宗像三女神の「タギツ姫」が祀られる筑前大島の『宗像大社 中津宮』にもあります。
(本文)
『タキリ姫』は『宗像神社』の『沖津宮』
『タギツ姫』は同じく『中津宮』
『イチキシマ姫』は『辺津宮』にそれぞれ鎮座しています。
『五柱神』の『アメノほひねの子』と『アメノひこね』は日本全国の「国造」の祖となりました。
凛のトリビアPOINT!
待ってましたーっ!『宗像三女神』は私の超―っ大好きな女神たちです!!
なので、色々ツラツラとお伝えしたいんですが、ここで話が止まっちゃいそうなので、ダイジェストでご紹介します・・・うぅ(´;ω;`)・実は『宗像三女神』の生まれた順番や祀られている神社は、両記でバラバラ。なので私は『宗像大社』の見解に沿った書き方をしています。
・三女神は『海の女神』です。『スサノオ』が三女神をそれぞれ ”海の重要拠点” に遣わせたのは、きっと自分が『大海原』の統治を命じられていたにも関わらず、追放されてしまい「責任を感じた」のか、それとも海の守備が “がら空き” になっていたからなのか・・・ いずれにしても良かったですよね、立派な女神が生まれて 笑
安心したのか『スサノオ』はこの後も、勝手気ままに放浪しますから(-_-;)
【神々の足あと】
・三女神の長女『タキリ姫』の祀られる『沖ノ島』(福岡県宗像市)は島全体がご神体で、神職の方だけが交代で住まわれています。現在でも上陸を許されるのは男性だけ・・・。しかも海で『禊』をしないと『沖津宮』の鳥居を潜ることは許されないんです。島内は神話当時そのままの姿が残っていて、『海の正倉院』と呼ばれるくらい、石器、土器、『祭祀品(宗教儀式で使う道具)』や『装飾品』、儀式の遺構なんかがザクザク出てくるんです!その数8万点!←国宝です。
島の中には未発見のものも、まだまだありますが、もちろん何一つ持ち帰ることは出来ません 笑 と言うか、上陸すらできません、私。
実は、現在でも沖ノ島には「この島で見聞きしたことは一切話してはならない」という『不言様』や、「島からは一木一草一石たりとも持出してはならない」という厳しい戒律があるんです。
あと、超個人的で申し訳ないのですが、この島の形が、ダイバー達の憧れ『マンタ』(オニイトマキエイ)に見えるんです。「海の女神」と「海の神秘マンタ」・・・泣けます。
『沖ノ島・マンタ』イメージ・次女の『タギツ姫』は『筑前大島』の『中津宮(なかつぐう)』に祀られています。現在でも多くの人が暮らす島で学校とかあります。この島も、沖ノ島同様、儀式や祭事が行なわれていて、数々の遺構があります。
たとえば!沖ノ島には限られた人しか上陸できないから、「この島から拝んじゃおう」ってことで、『沖ノ島遥拝所』という場所があります。(※島の北側、小高い丘の上に鳥居とお社があります)
ここから、良く晴れた日には遠くに沖ノ島が見えるんですよ!それから、そんなに遠い島なのに、三女神の長女『タキリ姫』の“おてんば”ぶりが分かる伝説もあるんです。
タキリ姫が自分の島「沖ノ島」へ渡る時に、馬にのってジャンプしたんです。その時の蹄の後が残っていて『馬蹄岩』と呼ばれています。確かにお馬さんの足跡がいっぱい・・・あるようにみえなくも、、、ない? いや、きっと飛びましたね、ここから沖ノ島!(*”▽”)さらにさらに、『中津宮』には『天真名井』という「三女神」が生まれるときに「スサノオ」の剣を清めた聖水が湧いています。
あと、境内には『天の川』という小川が流れていて、川を挟んで『牽牛神社』・『織女神社』が建っています。由緒ある『七夕伝説発祥の地』とも言われているんです。日本神話には直接表現されていませんが、この織姫は『瀬織津姫』と言われ、『タギツ姫』と同一神なのでは?という説もありますし、あまりに強い力を持っていたため「日本神話」から消されてしまった、龍神の化身など、さまざまな説があるんです。
・末っ子の『イチキシマ姫』は別名『サヨリ姫』と言い、宗像神社の総本社『宗像大社』の『辺津宮』にお祀りされています。実は『七福神』の紅一点、『弁財天』と同一神なんですよ。
・『イチキシマ姫』は『アマテラス』から命じられて、天孫降臨の際に生まれたての『ニニギ』の養育係として随伴したとも言われています。ニニギを立派に育てあげたことから、子守りの神様としても崇められるようになりました。『アマテラス』から生まれたとは言え、子別けの儀式で『スサノオ』の子となり「宗像大社(辺津宮)」を護っていたはずなんですが・・・。
・この沖ノ島(沖津宮)、筑前大島(中津宮)、宗像大社(辺津宮)、他は、「古代信仰が現代まで続いていること」などが評価されて2017年『世界文化遺産』に登録されました!!
・『三女神』は『日本神話』を語る上で、非常に需要なポジションにいる女神です。“海の神”で「海上交通の守り神」とされています。
事実、日本と大陸間の航路に『海北道中』というルートがあるのですが、この航路は「福岡宗像」→「筑前大島」→「沖ノ島」→「韓国の釜山」を“一直線”の最短ルートで結んでいるんです。
遣唐使も遣隋使も、みんなこの島を目印にしたんですって!この島がなければ安全な航海なんて出来なかったかもしれません!・ここまで語ってもまだ書きたい『宗像三女神』!
さて、『アマテラス』と『スサノオ』から一番最初に生まれた “強い力” を持つ女神を、なぜ遥か遠く離れた『玄界灘』の孤島に遣わせたのでしょう。
それは、沖ノ島・筑前大島を擁する、神話にも出てくる『海北道中』という航路が当時の日本にとって大変重要だったからなんです。
当時、大陸に渡るルートは九州の博多→壱岐島→対馬→韓半島というのが、王道中の王道でした。
一方で地図を見ても見えないほど小さい沖ノ島・筑前大島がなぜ重要なのか?実は、秋冬の季節風で対馬海流が起きて、大陸から最速で日本に辿り着くことができるのが、この『海北道中』ルートでした。しかも“真一直線”の最短距離。
しかし、当時の船や航海術では、たとえ最短とはいえ、途中に立ち寄れる島や目印になる島が無ければとても辿り着けません。もしも・・・
その島や海流の存在を日本だけが知っていたら? 自分だけのものにしたい!と考えませんか!?
そして見聞きしたことを話さない『不言様』が、”島の存在自体を隠すため” に作られたルールだったとしたら・・・当時大陸は強大な力を持っていました。一方で日本はとても力が弱く、いつ征服されてもおかしくないくらいの差がありました。
大陸にこのルートを利用されるのは、国防の面で日本にとって致命的な痛手になってしまいます。そのくらい重要な島だからこそ、神話の中で本当に力のある神を使わせたのではないでしょうか。 ( ˘ω˘)ドヤ
(本文)
岩戸隠れ 神話
『誓約』の後、『スサノオ』は一方的に勝利を宣言します。
そして『アマテラス』が営む、”田んぼ” を滅茶苦茶に壊したり、収穫を祝う祭事場に汚物を撒き散らしたりしました。
『アマテラス』は何もできず、最初は、かばうような仕草すら見せました。
すると、『スサノオ』はますます横暴になり、神聖な機織り小屋を壊したり、馬を殺したりとメチャクチャに暴れまくります!それがもとで『アマテラス』は ”子を産む力” までも失っていまいます。
『アマテラス』は恐ろしさから『天岩屋戸』の中に籠ってしまいます。
『高天原:天上界』は暗くなり、『葦原中国:地上界』はいつまでも明けることのない闇夜『常闇』につつまれてしまいます。漆黒の闇に乗じた幾万もの悪霊が湧き満ちて、災厄が国中を覆いつくしました。
『八百万神』は集まり、どうしたら『アマテラス』が岩屋戸から姿を現してくれるのかを話し合いました。
そして『思金神:通称オモイカネ』が策を出し、神々が総出で準備して、岩屋戸の前で(祭や宴のような)大騒ぎを始めました。
『勾玉』を作り、物が映りこむ『鏡』を作り、『天香具山』の『榊』を飾り、笹や桶で作った楽器で場を盛り上げました。『天宇受売命:通称アメノウズメ』が踊り、八百万神たちの笑い声が、まるで花が咲くように広がりました。
外の異変に気付いた『アマテラス』は岩屋戸の戸を細く開け、外の様子を窺いました。
そして騒ぎを見て、訪ねました。
「私が隠れ、世界が闇に覆われているのに、なぜウズメは楽し気に踊り、皆は笑っているのでしょう?」
『アメノウズメ』は答えます。
「あなたより格貴い神が現れたので、皆も喜んで騒いでおりました」
(その格貴い神はこの中にいますという意味で)鏡を差し出すと、不思議なものに興味を示して覗き込みます。
『アマテラス』が鏡に夢中になっていると、隙をみて手を引き岩屋戸から出してしまいます、すかさず ”しめ縄” で岩屋戸を封印すると「もう中へ戻ることはできません」と言いました。
『アマテラス』が岩屋戸から出てきたおかげで、世界に再び太陽の光で照らされるようになりました。
ようやく光が戻ったところで、八百万神は協議し、諸悪の根源である『スサノオ』の持ち物を没収し、髭を剃り、爪を抜いて、『高天原』を追放したのでした。
-スサノオ追放(神逐)-
凛のトリビアPOINT!
・『スサノオ』が豹変した理由はまったく分かりません。
あまりの不自然な展開に、大事な物語が1節抜け落ちてしまったのでは?とか、何らかの政治的理由で消されたのではないか?という説もあるくらいです。
でもストレートに考えると、“手に入れた女性” に対して急に態度が横柄になる “超ダメンズ” ということになります。
女の敵です!٩(๑`^´๑)۶ サイテイ『アマテラス』も一度は受け入れた男性ですから、『スサノオ』に対して毅然とした態度に出れません。それどころか田を壊す行為は「新たに農地を拡大しようとしているんだ」なんて庇おうとまでします。健気というか、封建時代的というか・・・ ダメ男と依存女子の典型パターンって大昔からあったんですね、やれやれです。
・『スサノオ』の乱暴によって『アマテラス』は “女性としての機能” を失ったとされます。事実、これ以降『アマテラス』は子を生んでいません。
・『スサノオ』の暴れっぷりは『台風』『暴風雨』を表現しているとされています。
不安定な農耕及び漁業で糧を得ていた民族にとって、台風や長引く梅雨、干ばつは生死を分ける一大事でした。そんな時代背景もあり、自然の猛威に畏怖の念を抱き、『スサノオ』を通して表現したのでしょう。【神々の足あと】
・神々が集まって、対応を協議した場所は『天安川』という河原です。この場所は、以前『スサノオ』と『アマテラス』が『誓約』をした場所でもあるんです。こちらも詳しい場所については諸説あって、奈良県の『飛鳥川』(昔は安川と呼ばれていた:場所が香具山などと近い)、奈良県御所市の「天安川神社」、宮崎県西臼杵郡「高千穂町」に『天岩戸神社』及び近隣に『天安河原』なんかがあります。・『天岩屋戸』は、更に大きくの比定地が西日本各地に存在しています。
奈良県橿原市は香具山の南麓に『天岩戸神社』があり、(竹林の中に複数に割れた)巨石が ”ご神体” として祀られています。
その他、兵庫県洲本市『岩戸神社』、徳島県美馬郡つるぎ町『天の岩戸神社』、宮崎県西臼杵郡高千穂町『天岩戸神社』などがあります。
場所的に信憑性が高いのは奈良ですが、岩の“見た目”では高千穂と洲本がイメージと一致するんですが・・・。
【神々の足あと】
・『アマテラス』を岩屋戸から誘い出す作戦では『天手力男』という神も加わっていました。細く開いた『天岩屋戸』が再び閉まらないように、岩を “こじ開けた” とされる怪力の神です。その凄さを物語るエピソードとして、こじ開けた天岩屋戸の “扉” をぶん投げたら、長野県の戸隠山まで飛んで行ったと伝えられます。現在ここには『戸隠神社』(奥社・中社など計5社)が鎮座しています。(写真は奥社)・面白いことに神話には『祭』や『宴』という言葉は書かれていません。ただ、こんな内容で “どんちゃん騒ぎ” をしたというような記述がされています。
【神々の足あと】
・祭で行われた数々の “催しもの(プログラム)” はその後、神々へ捧げる神事へと発展していきます。例えば『祝詞』を唱え、「鶏を鳴かせる」「勾玉や鏡などの神器を飾る」「御神楽」とよばれる神に捧げる踊りや演奏をする、動物の骨などでおこなう占いの『太占』、『榊』をたむける、「布を巻いたり垂らしたりして飾る」など、すべてこの祭りの時の催しとして神話に記述されています。・この時、神々によって作られた『勾玉』は『八尺瓊勾玉』で、『鏡』は『八咫の鏡』と呼ばれ、後に出てくる『草薙剣』と併せて『三種の神器』とされます。『三種の神器』は以後、天皇家に伝わる(天皇家の正当性を証明する)ものとして扱われていきます。
・『天宇受売命』は踊りに踊り、ハイになり過ぎて、着物ははだけ、見えるものが全部見えていたと記されています。(*ノωノ)イヤン
『神懸った』とあるので、一種のトランス状態に陥っていっていたんだと思います。
【神々の足あと】
・万葉集や百人一首で有名な『天香久山』は神々にとっても身近な存在でした。「祭で使った道具」の多くはこの山から貰ってきています。この『香具山』は現在の奈良県橿原市にあります(※山というよりは丘)『畝傍山』『耳成山』と併せて『大和三山』と呼ばれ、古くから信仰や大和文化の象徴として親しまれています。・「身ぐるみを剥がされ、男性の象徴である髭を剃られて追い出された」という記述は、『台風』が「熱帯低気圧」に変わって急速に勢力を弱めて(大人しくなって)いく様子を表現したのではないかと思います。